脱退一時金を受取れるケースとその手続き
確定拠出年金では原則60歳まで資産の引き出しはできません。ただし、法令で定める要件を満たす場合に限り、脱退一時金を受取ることができます。
- 60歳未満であっても脱退できるケースがある
脱退一時金を受取ることができるのは限られた場合です
DCは60歳以降の経済的備えとして設けられています。ですから、中途退職したときも原則として60歳まで、ポータビリティを活かして資産形成を継続することが基本となっています。
しかし、やむをえない事由と認められる限定的な条件にあてはまる場合、60歳未満であってもDCから脱退し一時金を受取れるケースがあります。これを脱退一時金といいます。以下のような条件にあてはまる場合は脱退一時金を受取ることができます。
なお、退職(加入資格を喪失)した時期によって取扱いが異なりますのでご注意ください。
脱退一時金の受給要件
次の二つのケースで、脱退一時金を請求できます。
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ケース
1企業型DCに加入していた場合①個人別管理資産額が1.5万円以下である場合
企業型DCに加入していた人が以下の条件のすべてに該当した場合が対象です。- 企業型DC加入者、企業型DC運用指図者、iDeCo加入者及びiDeCo運用指図者でないこと
- 個人別管理資産額が1.5万円以下であること
- 最後に企業型DCの資格を喪失した日の翌月から6ヶ月を経過していないこと
②個人別管理資産額が1.5万円を超える場合
企業型DCに加入していた人が以下の条件のすべてに該当した場合が対象です。- 企業型DC加入者、企業型DC運用指図者、iDeCo加入者及びiDeCo運用指図者でないこと
- 最後に企業型DCの資格を喪失した日の翌月から6ヶ月を経過していないこと
- 60歳未満であること
- iDeCoに加入できない者であること
- 日本国籍を有する海外居住者(20歳以上60歳未満)でないこと
- 障害給付金の受給権者でないこと
- 企業型DCの加入者及びiDeCoの加入者として掛金を拠出した期間が5年以内であること、又は個人別管理資産額が25万円以下であること
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ケース
2iDeCoに加入していた場合iDeCoに加入していた人が以下の条件のすべてに該当した場合が対象です。
- 60歳未満であること
- 企業型DCの加入者でないこと
- iDeCoに加入できない者であること
- 日本国籍を有する海外居住者(20歳以上60歳未満)でないこと
- 障害給付金の受給権者でないこと
- 企業型DCの加入者及びiDeCoの加入者として掛金を拠出した期間が5年以内であること,又は個人別管理資産額が25万円以下であること
- 最後に企業型DC又はiDeCoの資格を喪失してから2年以内であること
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- 脱退一時金の手続きと税金
運営管理機関等に対して手続きを行ってください
脱退一時金を受取る場合には、自ら手続きをしなければなりません。条件に応じて、企業型DCまたはiDeCoの記録関連運営管理機関、または国民年金基金連合会に対して手続きを行います。
脱退一時金の受給要件や、手続きの進め方については運営管理機関に確認しましょう。
また、脱退一時金は本来60歳以降に受取るべき資産を早期に受取ったことになりますから、税制上の優遇は受けられません。一時所得として課税対象となります。
- 脱退一時金を受取れるケースとその手続き<まとめ>
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- DCから脱退する際、一定の条件を満たす場合のみ一時金を受取ることができます
- DCは、原則として60歳まで受給することができませんが、資産が少ない等の条件を満たす場合には脱退一時金を受取ることができます。
- 税制上の優遇を受けることができません
- DCの目的は60歳以降の資産形成であるので、脱退一時金として60歳前に受取る場合は、一時所得として課税対象となります。
- 脱退一時金を受取るか、DCの資産として運用を続けるかは、慎重な検討を
- 60歳を迎える前に脱退一時金として受取ってしまうと、退職後の経済的な備えが手薄になってしまいます。手続きをする前に、改めてライフプランを考えることも大切です。
- 60歳前に転退職された方(iDeCo)