労働組合に求められる役割

退職金・企業年金は、給料・一時金と同様に組合員の生活(主に退職後)を支える重要な収入確保手段です。
公的年金の支給開始年齢の引上げや社会保険料の負担増が避けられない状況のなかで、退職金・企業年金の重要性は増していますが、資金運用難や企業業績の影響を受けるかたちで、退職金・企業年金の減額や廃止が相次いでいるため、労働組合が積極的に関与し、組合員の退職後の生活を守る必要が出てきています。

退職金・企業年金の位置づけ

退職金・企業年金は重要な労働条件!組合員の権利を守る必要があります。

「企業年金制度は複雑なので、労使交渉を求められてもどう判断すればいいのか分からない」という声をよく耳にします。確かに、複雑な年金数理計算を伴う制度設計シミュレーションなどを示されると、どこを交渉のよりどころとすべきか分からず、戸惑うこともあるでしょう。

しかし、退職金・企業年金制度において労働組合の果たすべき役割は、給料交渉や高齢者雇用、時間外勤務時間の管理などと同等に重要な課題といえます。
なぜなら、勤労者の労働の対価として、退職金や企業年金を受取る権利が積み上げられていると考えられるからです。

企業年金制度の見直しプロセス

もし残業代の未払いがあれば、労働組合は労働者の権利を守るため会社と交渉をするでしょう。合理的な理由なく一時金の減額が行われれば真剣に会社と協議を重ねるはずです。
それと同様に、退職金や企業年金の中長期的な安定に懸念はないか、組合員が不利益な取扱いをされていないか、労働組合は会社に対するチェック機能を果たし、組合員の権利を守っていく必要があります。

退職金・企業年金に関して労働組合に求められる役割・責任が増しています。ろうきんの役割発揮宣言はこちらから

退職金・企業年金は「労働の対価」、「給料の後払い」と見なされます。

退職金・企業年金は、福利厚生制度といわれることがありますが、厳密には「給料・報酬制度」の一部として考えられます。
会社の人事制度においては、従業員の働きや能力を「評価」し、社内の人事制度にもとづいて昇格等の「処遇」を行います。処遇に見合った給料や一時金が「報酬」として支払われます。
この3つのサイクルを有効に回していくことが必要です。このとき、退職金のポイントが積み上がったり、企業年金の掛金が支払われているのは、まさに「評価」「処遇」にもとづいた「報酬」以外のなにものでもありません。

退職金・企業年金制度はなんとなく支払われているものではなく、本人の労働に起因してその支払いの約束を手に入れています。だからこそ、労働組合としてこの問題に真剣に向き合っていかなければなりません。

今でも、企業の経営者には「退職金は会社が退職者へのご苦労さんという気持ちを示したものであって、払えないときは払わなくてもいい」と考えている人がいます(功労報償の考え)が、これはもう時代に即していない考えです。

例えば、企業会計上でも退職金・企業年金は「後払いの給料」とみなされています。
上場企業の決算は、国際会計基準に則ったルール見直しが数次にわたって進められていますが、2001年度以降「退職給付会計」が日本に導入され、退職金・企業年金の積立不足の状況は、企業の財務上重要な開示情報のひとつとなりました。

退職給付会計では、退職給付債務という概念を用いて積立状況を検証しますが、この考え方の基礎となっているのは「決算日において発生している退職金・企業年金を支払う約束は、従業員とのあいだに生じた債務である」という考えです。
つまり、将来退職した際には必ず支払わなければならない約束であり、取引金融機関からの融資金と何ら変わらないという考え方です。

労働組合の意識向上、積極的な関与が求められています。

21世紀に入って整備されたいわゆる「新企業年金2法」、すなわち確定拠出年金法と確定給付企業年金法においては、退職給付制度の設計や改定にあたって労使合意を前提とする法整備が行われました。
退職一時金の引下げについては必ずしも労使合意は必要とせず(労使間での話し合いは求められる)、著しい不利益変更が生じている場合などは、労働基準監督署が間に入るなどして調整をはかっていましたが、企業年金制度では、労使合意抜きに制度の改定を行うことはできなくなっています。

企業においては、確定給付企業年金における給付水準の引下げや確定拠出年金制度の採用など、制度の見直しが頻繁に行われるようになりました。企業の存続、雇用の維持、高齢者雇用の確保など様々な労働条件と総合的に判断しながら、退職給付制度についても労使間で交渉をすることが求められています。

一昔前は、納得のいく水準が得られ、前向きな制度改善が多かったため、労働組合のなかでも、退職金・企業年金に対する課題認識・優先度は決して高くなかったかもしれません。

しかし、これからの退職金・企業年金に関する課題を解決するためには、正確な制度知識や問題意識をもって、交渉に臨まなければ、組合員のみならず受給者となったOBの権利も損なわれる可能性があります。
21世紀の労働組合は、退職金・企業年金制度への理解を高め、会社とわたりあえるだけの力を養っていく必要があるのです。

確定拠出年金(企業型DC)を採用することとなれば、導入時の運用商品ラインナップの選定や、投資教育が継続的に実施されているかなど、適切な制度運営に向けたチェック機能を多岐にわたって果たすことが求められます。

労働組合に求められる役割とは <まとめ>

[退職金・企業年金の権利は給料と同様に守らなければならない(後払いの給料である)][企業年金制度の創設・改定は労使合意がなければ実行できない法整備が進む(責任も重い)][企業は厳しい経営環境下、退職金・企業年金の増額・廃止をは含む包括的な見直しを積極的に検討する時代] ⇒労働組合の果たす役割は大きい
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