理念・経営方針 労金連のESG投融資の取組み
労金連は、ESG投融資を一層進め、内容の充実を図る観点から、2010年4月に制定した「労金連のSRI(社会的責任投資)原則」を見直し、2020年4月に「労金連のESG投融資原則」を新たに制定しました。

労金連は、「ろうきんの理念」にある「人々が喜びをもって共生できる社会の実現に寄与すること」を実現するため、「経営方針」において、「社会的責任(CSR)を重視した経営」を掲げています。このような経営方針を実践し、SDGsを達成していくため、投融資行動においては、持続可能な社会の実現に向け、勤労者を取り巻く社会的課題の解決に繋がる資金循環をつくりだしていくことが必要であるとの考えの下、ESG投融資に取り組んでいます。

ESG投融資とは、投融資先の決定にあたって、財務分析だけでなく、環境(E :Environmental ) ・社会(S : Social ) ・企業統治(G:Corporate Governance)の課題を考慮し、分析を行うものです。

労金連では、「ESG投融資原則」を制定のうえ常務会の下に「ESG投融資推進委員会」を設置し、ESG投融資の取組みを推進しています。

また、労金連は、地球の未来を憂い、持続可能な社会の形成のために必要な責任と役割を果たしたいと考える金融機関の行動指針として策定された「持続可能な社会の形成に向けた金融行動原則(21世紀金融行動原則)」に署名しています。ESG投融資の取組みは21世紀金融行動原則の実現にもつながるものと考えています。

労金連のESG投融資原則

2020年4月1日制定


労金連(以下、「本会」といいます。)は、「ろうきんの理念」に掲げる“人々が喜びをもって共生できる社会の実現に寄与すること”を経営方針に明記し、CSRを重視した経営を行うこととしています。このような経営方針を実践し、SDGsを達成していくため、本会の投融資行動においては、持続可能な社会の実現に向け、勤労者を取り巻く社会的課題の解決に繋がる資金循環をつくりだしていくことが必要であり、また、その責任があると考えています。

こうしたことから、本会は、持続可能な社会を目指す金融の担い手として、投融資の判断にあたっては、財務的分析に加えて、ESG(Environmental:環境、Social:社会、Corporate Governance:企業統治)の課題(以下、「ESG課題」といいます。)を考慮することとし、次の取組みを行います。
1.本会は、投融資に係る分析と意思決定のプロセスに可能な限りESG課題を組み込みます。
<説明>
財務指標などの経済的側面に限らず、企業の社会的責任、例えば、環境・気候変動への取組みやコンプライアンス(法令遵守)、従業員への配慮・ディーセントワークの実現、地域社会への貢献などの社会的な取組みを考慮して投融資を行うこととします。
企業への評価は、ESGに対する評価を用います。
2.本会は、持続可能な社会の実現に向けて、投融資先企業とのエンゲージメント活動に取り組みます。また、株主議決権を行使するにあたっては、ESG課題を考慮します。
<説明>
投融資先企業の行動に資金提供者の立場から関与していくことをエンゲージメントといいます。経営者に、持続可能な社会の実現に向けた中長期的な視点での企業価値向上および当該企業の持続的成長を働きかけるため、エンゲージメント活動に取り組みます。また、株主議決権を行使するにあたっては、ESG課題を考慮することとします。
3.本会は、投融資先のESG課題に関する適切かつ十分な開示を重視します。
<説明>
企業は、自らの決定や活動が社会に与える全体的な影響について説明責任を担っています。また、情報開示は、企業の透明性を高めるだけでなく、双方向のコミュニケーションの出発点であると言われています。したがって、本会は、持続可能な社会の実現に向けた重要な要素として「適切かつ十分な開示」を重視することとします。
4.本会は、投融資先に求める社会性について認識を深めるとともに、自らのESG課題に対しても真摯に取り組みます。
<説明>
本会は経営方針に「CSRを重視した誠実な経営」を掲げており、CSR経営を投融資の側面から制度化する仕組みがESG投融資原則です。したがって、ESG投融資原則を有する組織として、自らも持続可能な社会の実現に向けた社会的課題に対しても常に高い意識を持ち、不十分な側面を認識したうえで、これを改善する努力を行うこととします。
5.本会は、本原則の実行に関する活動状況や進捗状況を適正に管理します。
<説明>
ESG投融資は、持続可能な社会の実現に向け、勤労者を取り巻く社会的課題の解決に繋がる資金循環をつくりだすことを目的にしていますので、ESG投融資に係る「説明責任」や「透明性」を自ら果たすために、本会は、本原則を開示するとともに、本原則に基づく運用状況を定期的に経営陣に報告します。


ESG投融資の状況

2023年度末時点のESG投資の実績
ファンド・債券・株式・シンジケートローン
投融資残高
2022年度末
2023年度末
ESGファンドへの投資
419 億円
415億円
環境債・社会貢献債等への債券投資
1,297 億円
1,888億円
 うち、環境債(グリーンボンド)
(476 億円)
(675 億円)
 うち、社会貢献債(ソーシャルボンド)
(240 億円)
(297 億円)
 うち、サステナビリティボンド等
(580 億円)
(915 億円)
ESG課題を重視した株式投資
163 億円
180 億円
ESG課題を重視したシンジケートローンへの融資
13 億円
合 計
1,880 億円
2,496 億円


ESG投融資実績の推移

PRI(責任投資原則)への署名について

労金連は、2017年9月に<ろうきん>業態を代表し、国内預金取扱金融機関(信託銀行を除く)で初めて、国連が提唱する責任投資原則(PRI:Principles for Responsible Investment)に署名しました。

PRIとは、投資行動にあたって、投資先企業のESG課題への取組みに配慮することを宣言したものです。

労金連は、PRIの6つの原則に基づき、ESG投融資を推進する機関投資家として、また、投資先企業との対話などを行う活動的な資産保有者としての役割を果たし、経営方針に掲げる、人々が喜びをもって共生できる社会の実現に寄与していきます。

「持続可能な社会の形成に向けた金融行動原則(21世紀金融行動原則)」への署名について

労金連は、「持続可能な社会の形成に向けた金融行動原則(21世紀金融行動原則)」(以下、「金融行動原則」といいます。)に署名しています。

本原則は、地球の未来を憂い、持続可能な社会の形成のために必要な責任と役割を果たしたいと考える金融機関の行動指針として2011年に策定された初版原則の意志を受け継ぎ、10年間の外部環境変化を踏まえるとともに、さらにその先を見据え、2022年に新たな原則として見直されました。

労金連は、持続可能な社会形成に向けた金融機関の責任と役割を認識し、この金融行動原則の趣旨に基づく取組みを推進していきます。