盗難通帳等を用いた不正な払戻しによる被害の補てん
ならびに本人確認の取扱いに関する特約

  • 1.(特約の適用範囲等)
    • (1)この特約は、当金庫と預金契約を締結する個人のお客さまが当金庫に有する預金で、払戻しの際に、払戻請求書に記名押印し、通帳、証書を提出する預金について適用されます。
    • (2)この特約は、以下の取扱いを定めるものです。
      • @ 盗取された通帳、証書(以下「通帳等」といいます。)を用いて不正な払戻し(解約ならびに当座貸越を利用した払戻しを含みます。)が行われた場合における取扱い
      • A 本人確認(払戻しにおける権限の確認をいいます。)に関する取扱い
    • (3)この特約は、各種預金規定(以下「原規定」といいます。)の一部を構成するとともに原規定と一体として取扱われるものとし、この特約に定めがある事項はこの特約の定めが適用され、この特約に定めがない事項に関しては原規定が適用されるものとします。
  • 2.(盗難通帳等による払戻し等)
    • (1)盗取された通帳等を用いて行われた不正な払戻し(以下、本条において「当該払戻し」といいます。)については、次の@からBのすべてに該当する場合、預金者は当金庫に対して当該払戻しの額およびこれにかかる手数料・利息に相当する金額の補てんを請求することができます。
      • @ 通帳等の盗難に気づいてからすみやかに、当金庫への通知が行われていること
      • A 当金庫の調査に対し、預金者より十分な説明が行われていること
      • B 当金庫に対し、警察署に被害届を提出していることその他の盗難にあったことが推測される事実を確認できるものを示していること
    • (2)前記(1)の請求がなされた場合、当該払戻しが預金者の故意による場合を除き、当金庫は、当金庫へ通知が行われた日の30日(ただし、当金庫に通知することができないやむをえない事情があることを預金者が証明した場合は、30日にその事情が継続している期間を加えた日数とします。)前の日以降になされた払戻しの額およびこれにかかる手数料・利息に相当する金額(以下「補てん対象額」といいます。)を補てんするものとします。ただし、当該払戻しが行われたことについて、当金庫が善意かつ無過失であることおよび預金者に過失(重大な過失を除く)があることを当金庫が証明した場合には、当金庫は補てん対象額の4分の3に相当する金額を補てんするものとします。
    • (3)前記(1)および(2)の規定は、前記(1)にかかる当金庫への通知が、この通帳等が盗取された日(通帳等が盗取された日が明らかでないときは、当該払戻しが最初に行われた日。)から、2年を経過する日後に行われた場合には、適用されないものとします。
    • (4)前記(2)の規定にかかわらず、次のいずれかに該当することを当金庫が証明した場合には、当金庫は補てんしません。
      • @ 当該払戻しが行われたことについて当金庫が善意かつ無過失であり、かつ、次のいずれかに該当すること
        • A.当該払戻しが、預金者の重大な過失により行われたこと
        • B.当該払戻しが、預金者の配偶者、二親等内の親族、同居の親族その他の同居人、または家事使用人によって行われたこと
        • C.預金者が、被害状況についての当金庫に対する説明において、重要な事項について偽りの説明を行ったこと
      • A 通帳等の盗取が、戦争、暴動等による著しい社会秩序の混乱に乗じまたはこれに付随して行われたこと
    • (5)当金庫が当該預金について預金者に払戻しを行っている場合には、この払戻しを行った額の限度において、前記(1)にもとづく補てんの請求には応じることはできません。また、預金者が、当該払戻しを受けた者から損害賠償または不当利得返還を受けた場合も、その受けた限度において同様とします。
    • (6)当金庫が前記(2)の規定にもとづき補てんを行った場合には、当該補てんを行った金額の限度において、当該預金にかかる払戻請求権は消滅します。
    • (7)当金庫が前記(2)の規定にもとづき補てんを行った場合には、当金庫は、当該補てんを行った金額の限度において、当該払戻しを受けた者その他の第三者に対して預金者が有する損害賠償請求権または不当利得返還請求権を取得するものとします。
  • 3.(預金の払戻しにおける本人確認)
    預金の払戻しにおいて、原規定に定めのある払戻しの手続に加え、当該預金の払戻しを受けることについて正当な権限を有することを確認するための本人確認書類の提示等の手続を求めることがあります。この場合、当金庫が必要と認めるときは、この確認ができるまでは払戻しを行いません。

以 上

【重大な過失または過失となりうる場合】

この特約において規定する「重大な過失」または「過失」となりうる場合の具体的な事例は、以下のとおりです。

  • 1.(預金者の重大な過失となりうる場合)
    預金者の重大な過失となりうる場合とは、「故意」と同視しうる程度に注意義務に著しく違反する場合であり、その事例は、典型的には以下のとおりです。
    • @ 預金者が他人に通帳等を渡した場合
    • A 預金者が他人に記入・押印済みの払戻請求書、諸届を渡した場合
    • B その他預金者に前記@およびAの場合と同程度の著しい注意義務違反があると認められる場合
    • (注) 前記@およびAについては、病気の方が介護ヘルパー(介護ヘルパーは業務としてこれらを預ることはできないため、あくまで介護ヘルパーが個人的な立場で行った場合)等に対してこれらを渡した場合等、当金庫がやむをえない事情と認めた場合はこの限りではありません
  • 2.(預金者の過失となりうる場合)
    預金者の過失となりうる場合の事例は、以下のとおりです。
    • @ 通帳等を他人の目につきやすい場所に放置する等、第三者に容易に奪われる状態に置いた場合
    • A 届出印の印影が押印された払戻請求書、諸届を通帳等とともに保管していた場合
    • B 印章を通帳等とともに保管していた場合
    • C その他本人に前記@からBの場合と同程度の注意義務違反があると認められる場合

以 上
(2004)