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 2001年6月22日、確定拠出年金法案が成立し、10月以降、確定拠出年金を導入することが可能となりました。
 既存の確定給付の退職金・企業年金(の一部)を企業型確定拠出年金に転換する場合には、現行制度からの「等価転換」を大原則として、制度設計を行っていくことが必要です。
 金属労協では「等価転換」を、「勤労者が元本確保型の運用をしていった結果、退職後に受け取る給付が、従来の確定給付の企業年金・退職金制度であったならば受け取ることができたであろう金額と同じ水準になること」と定義しています。
 この「等価転換」を実現するためには、
「従来の確定給付の企業年金・退職金制度であったならば受け取ることができたであろう金額」を予測すること。
上記の予測金額を得るために、毎年(正しくは毎月)いくらずつ企業が掛金を拠出するか、しかるべき運用金利を想定して算出すること。
という2つの作業が必要となります。



 まず第一の作業である現行制度での将来の給付予測ですが、具体的にいえば、現在新卒・18歳の人が将来60歳定年で退職金を受け取る場合、現行の確定給付の制度のままでいけば、42年後に退職金がいくらになっているか、ということです。
 退職金算定の典型的な方式は「退職時賃金(の一部)×退職金係数」というものですが、定年時の賃金は、労使交渉の結果、基本的には毎年変化するものであり、42年後の退職金額も、その間の労使交渉の積み重ねで決まるということになります。退職金を金額そのもので協定している場合でも、生活水準や物価水準の変化に対応し、必要に応じて水準改定が行われるはずですから、結局は同じことになります。




 第二の作業である掛金の算出ですが、この作業の焦点は「しかるべき運用金利」の予測です。
 重要なのは、勤労者がリスクのある運用で儲けることを「あて」にして制度設計をしては
ならない、運用金利は「元本確保型」の金融商品のものでなくてはならない、ということです。
 もちろん個人によっては、ハイリスク・ハイリターン型の運用をすることもあるでしょうし、若い時はハイリスク、引退が近づくとローリスクという運用の仕方も考えられます。しかしながら、それはあくまで個人の選択の問題であり、損失が生じればすべて勤労者個人が負うわけですから、その利益もすべて個人に帰すべきです。投資信託のような商品で利益をあげることを前提に運用金利を予測し、「利益が出てあたりまえ、損失は個人の責任」というような制度設計をすべきではありません。




 「現行制度での将来の給付額」と「しかるべき運用金利」を予測するという作業は、実は、確定給付の場合の退職給付債務の算定方式と基本的に同じです。
 しかしながら確定給付の場合は、予測をそのつど修正して会計処理すればよいのに対し、確定拠出の場合、修正はかなり面倒なことになります。予測の目安として潜在成長率などを前提にすることもできますが、それでも現実との乖離は避けられません。
 そこで、現実的な対応としては、
(1) 現行制度での将来の給付予測を行わず、現行の退職金水準そのものを基礎として、企業が拠出する掛金を算出する。
(2) そのかわり、企業が拠出する掛金を算出するにあたり、運用による金利収入を織り込まない。
(従って、上記(1)(2)により、例えば新卒・18歳の勤労者について、現行の60歳・勤続42年の定年退職金のうち1,000万円分を確定拠出に転換する場合には、1,000万円を42年で割った金額を初年度の掛金とする)
(3) 2年目以降の掛金については、必要に応じて水準改定を行う。
というやり方が考えられます。
 金融機関の提案する転換案のなかには、現行制度での将来の給付予測を行わず、運用による金利収入は織り込む、というものがあります。すなわち、42年後に元利合計で1,000万円になるような制度です。この場合、上の条件のうち(2)(3)を満たしていないことになりますが、(1)(2)(3)をすべて満たさないと、退職給付は仕組みの上では切り下げになりますので、十分に注意すべきです。




 確定拠出年金については、事務費ならびに運営管理機関、資産管理機関に対する手数料が発生します。運用商品の預け替えに際して発生する手数料については、一部勤労者の負担ということも考えられますが、その他の事務費ならびに手数料は、企業負担とすべきです。
 さて、確定給付を確定拠出に適切に転換した場合には、企業にとって結局はコスト増となるかもしれません。しかしながら確定給付の場合には、企業は単に積み立てた資産の価格変動リスクを負っているだけでなく、資産価格が下落するような経済情勢のときには、企業収益も悪化している場合が多いわけで、その点で二重のリスクを負っています。確定拠出への転換により、退職給付債務という巨大な、そして二重のリスクを回避できるメリットは、企業にとってきわめて大きいといえます。
 本来、確定拠出年金は総額人件費抑制の手段ではなく、企業のリスク回避と、勤労者の自立を目的としているはずです。コストなくしてリスクは回避できない、ということを十分に認識し、制度設計を行っていくことが重要です。


 

 

個人別管理資産は、たとえ企業が拠出したお金であっても、拠出した段階ですでに加入者(勤労者)の財産になるという概念(べスティング)を明確に打ち立てるべきである。

個人別管理資産の額など事業主による個人情報の利用については、本人同意の有無にかかわらず禁止すべきである。

企業への運用委任は、企業が運用して結果責任は加入者が負うというのはおかしい、本人同意を用件としても、個人の意思が尊重されない危険性がある、などの点から、禁止すべきである。

拠出限度額に関しては、とくに企業型(厚年基金、適年等に加入していない者)、個人型(自営業者等)、個人型(企業の従業員)の差異について、合理的な理由が認められないことから、企業型、個人型ともすべて自営業者並み(年81万6千円)に統一すべきである。

上記限度額の範囲内において、企業型に対する個人の上乗せ拠出、個人型に対する企業の上乗せ拠出を解禁すべきである。

 


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